退職すると決めてから退職までにチェックしておきたい6つのこと

  • 2021年1月28日
  • 2021年1月28日

退職というのは意外とエネルギーがいることです。退職すると決めたらそれを勤め先に伝えて引継ぎを行い、退職後はそれまで会社が行っていた健康保険関係の手続きを切り替えるなど、やることが多いです。

今回は退職する前から退職直後までにチェックしておきたいことをまとめました。

退職する理由によって何か変わるの?

退職理由は、ハローワーク利用の際には離職理由として扱われます。この離職理由によって、基本手当(よく失業手当と言われています)を受給出来るまでの制限期間が変わってきます。

基本手当は離職された方で働く能力と意思があり、積極的に求職活動を行っている方を対象とした手当です。この手当が受給できるまでの制限期間が三パターンあり、①7日間の待期のみ、②待期+2カ月、③待期+3カ月、以上のいずれかに、離職理由によって決定されます。例えば、普通解雇、定年、契約期間満了等でしたら①となり、一身上の都合による自己都合だと原則②となり、懲戒解雇等ですと③になります。退職する際は勤務先にその理由を伝え、あるいは確認を行い、離職後はハローワークでも離職理由の確認がされますので異議がある場合は相談してみましょう。

(令和2年10月以降の正当な理由のない自己都合による離職(一身上の都合等)であって、5年間のうち2回までが給付制限期間2カ月の扱いになります。それ以外は給付制限期間3カ月となります)

退職希望は何日前までに伝えればいいの?

就業規則がある事業所でしたら、まずは就業規則の退職に関する事項の部分を確認しましょう。

就業規則には必ず退職に関する事項の記載があります。就業規則に記載があればそれでいいのですが、就業規則が無い会社や、何日前までにといった記載がない場合もあります。期間の定めのない労働契約を結んでいる場合(正社員等)は、2週間前までに会社へ伝えるのが良いでしょう。(民法第627条に定められています)口頭でも文書でも有効ですが、就業規則に「文書」や「所属長へ提出」とある場合はそれに合わせてください。

(期間の定めのある労働契約を結んでいる場合は、やむを得ない事情が無いときは契約期間満了まで在籍する必要があります)

退職までに使えなかった有給休暇は買い取ってもらえる?

退職日まで有給休暇を全て消化するという方は多いです。もっとも、引継ぎに時間がかかり有給休暇が残ってしまうという方もいるかもしれません。そうなると有給休暇を買い取ってもらえないか気になるところですが、原則、有給休暇の買取は無効とされています。

しかし、付与から2年間の時効となった有給休暇や、この場合のように在職期間中に使用できない有給休暇については法律上定められておりませんので、使用することが出来ない場合は会社に相談してみるのが良いでしょう。ただし、時効となった有給休暇の買取は義務ではありませんので、有給休暇は在職中に全て使用することが望ましいです。

退職日までにチェック!紛失したものがあればすぐに手続きを

退職日には事業所から貸与を受けているもの(社章や制服等)のほか、社会保険に入っていた方は健康保険の被保険者証を返します。健康保険の被保険者証は、身分証明書にもなる大切なものです。

もし、自分や被扶養者が被保険者証を紛失した場合はすぐに会社へ報告してください。また、雇用保険被保険者証の有無も在職中に確認をしておいた方が良いです。紛失していた場合は再交付申請書を記入のうえ最寄りのハローワークに問い合わせてください。次の再就職のときに雇用保険被保険者番号が必要になります。

退職後に貰えるお金ってどんなものがある?

雇用保険に加入していた方だと、加入期間などの要件を満たせば基本手当(失業手当)を受給することができます。こちらは申請に離職票等が必要となります。

健康保険に継続して1年以上加入していた方で、退職した際に出産手当金や傷病手当金を受け取っていた場合は、それぞれの支給期間内で継続して受給することができます。資格喪失後(退職後)は自分で手続きする必要があるので、退職の前に加入している協会けんぽや健康保険組合のページを確認しておきましょう。

退職日から退職直後にすること

離職票は退職日翌日以降でないと発行が出来ず、会社がハローワークに提出し、発行された離職票を退職者に送るといった流れが一般的です。退職日には離職票がいつ頃発行されるか確認しておくと、ハローワークへ行く目途が立ちます。

会社から渡される源泉徴収票も必ず受け取り、保管しておいてください。年内に再就職した場合は会社へ提出したり、確定申告で必要となったりします。

住民税が給与から天引きされていた方は、普通徴収という方法で納付書が市区町村から送付され自分で納付する形になります。ただ時期や事業所によっては一括徴収といって翌5月末分までの住民税を一括して天引き・納付してくれる場合もあります。

社会保険に加入していた方は、国民年金・国民健康保険への切り替えのため14日以内にお住まいの自治体で手続きを行いましょう。もし、健康保険の任意継続被保険者となる場合は20日以内に手続きが必要となりますので忘れずに申請しましょう。離職票が届いたら住居地管轄のハローワークを確認し、速やかに求職の申込を行うことをお勧めします。また、離職票が届かない場合も住居地管轄のハローワークに相談してください。

まとめ

確認することが多いことに驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。流れをまとめると、退職の意を会社へ伝える前までは就業規則を確認します。退職日までの在職中は各種保険証等貸与物の確認をして、無ければ会社に相談しましょう。退職後はお住まいの自治体で国民年金や国民健康保険の手続きを行い、離職票到着後はハローワークへ求職の申込を行います。現在は各窓口の受付時間等が変更となっていたり郵送受付したりという場合もあるので事前にインターネットで調べると良いでしょう。

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この記事を書いた人

岡 佳伸

岡 佳伸

社会保険労務士法人岡 佳伸事務所代表 アパレルメーカー、グッドウィル、KYBなどでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、埼玉労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。

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